モア・エキサイティング・レポート!
残暑も暑く、戦いも熱い江戸の海
残暑厳しい9月15日から17日の3日間にかけて、江戸にスナイプ級が18チーム34艇、470級が28艇集結し、第58回全日本実業団選手権大会が東京都江東区若洲海浜公園ヨット訓練所にて開催されました。
スナイプ級では、昨年度の全日本選手権優勝の近藤組率いる王者アイシンAIを筆頭に、対するは、大井組率いる奥村ボート、元ナショナルチーム軍団で構成されているSPN、スナイプワールド2位の実績を持つ阿部が移籍した三菱重工広島、そして、常勝軍団豊田自動織機での戦いに注目が集まりました。
コンディションは、軽風から強風までのオールラウンドのコンディションで、6レースが行われ、強風域での圧倒的なスピードでゲームを支配したアイシンAIチームが大会2連覇を成し遂げました。2位から4位までは、最終レースの最終レグの直線アビームで、順位の入れ替わりが激しく、フィニッシュしても成績が出るまで分からないくらい熱い戦いが繰り広げられました。本当に僅差で、2位にSPN、3位に奥村ボート、4位に豊田自動織機、5位に三菱重工広島と前評判通りのチームが上位を固めました。
470級では、今年の関東・関西470選手権を制したSPNの飯束・八山組対学生個人戦2連覇中の日本経済大学の土井・外園組、全日本470選手権2連覇中の市野・佐藤組、国体優勝経験を持つ豊田自動織機の高橋組と次のリオ・オリンピックに向けた若手の戦いに注目が集まりました。今大会には、過去の470級での学生個人戦優勝経験者が、なんと4名も集まり歴代王者決定戦とも言える戦いになりました。
コンディションは、スナイプ級同様にオールラウンドのコンディションで7レースが行われ、最終日の社会人SPNチームVS学生界敵なしの日本経済大学の学生チームの着順勝負となり、ヤングパワーを炸裂させた土居・外園組が、勝利を手にしました。2位には、飯束・八山組、3位は、市野・佐藤組となりました。優勝した土居・外園組は、学生のためオープン参加扱いとされ、実業団(社会人)選手権では、SPNの飯塚・八山組が悔しい優勝となりました。
470級復活の裏
今年は、東京開催ということもあり、470級が近年稀に見る数が集まりました。この数年、景気の悪化と共に実業団活動の縮小、廃部が目立ち470級の参加艇数も毎年一桁での開催となっていました。この問題を解決するために栗原会長を始めとする実業団連盟理事たちで試行錯誤を繰り返し、「今の学生こそ未来の社会人」だと考え、実業団(社会人)大会ではあるが学生の参加を認めることにしました。そして、学生の最大の壁になる資金面もできる限りの補助を協会が負担し、参加しやすい環境を整えました。大会に参加した学生が社会人になっても一人でも多くセーリングを続けていってもらいたいと願うばかりです。また、社会人には、共同輸送によるコストダウン、チャーター艇の用意、合同練習会開催など参加する準備面での協力をさせてもらいました。その甲斐あって、例年にない参加艇数とレベルの高い大会を開催することができました。社会人になっても続けていくことができる環境を提供していくことが、我々協会の役目だと感じています。
最後になりますが、この470級の盛り上がりを縁の下の力持ちとなって支えてくれた株式会社エス・ピー・ネットワークの代表取締役渡部氏に感謝の敬意を表したいと思います。2年前から自らも同大会にスナイプ級で選手として参加し(今年は、スナイプマスターズワールドに参加したため不参加、年齢別部門で3位)、自らセーリングを楽しむと共に「セーリングの素晴らしさを伝え、普及させていかなくてはならい。それこそが我々の役目だ。」と感じ、協会へ若い理事を送り込んでくれました。培われた経営戦略を武器に適材適所の人員配置、チャーター艇の用意、選手たちのニーズに応える対応策等、理事以上の裏方に徹し大会を盛り上げてくれました。また、470協会を始めとする各水域の理事の皆様、ご協力頂いた関係者並びに関係業者の方々に、この場をお借りして深く感謝申し上げます。ありがとうございました。
来年は9月14日から16日に長崎県の長崎サンセットマリーナでの開催予定となっております。皆さんの熱い戦いと爽やかな笑顔をお待ちしています。
全日本実業団理事